ハロー、ベイパー。
電子タバコ(VAPE)が我々の体にどう影響をもたらすのかは、まだ諸説があり、これといった結論が出ておらず利用者同士であっても議論が紛糾する話題です。
そんな疑問に少しの答えを見せてくれる英国BBCのHorizon BBC - 電子タバコ:奇跡か脅威なのか、をPromist VaporのGabishさんが日本語字幕をつけて紹介してくださっています。
番組は電子タバコ(VAPE)が一体どういうものなのかといった基本的なことから、どういう人々がそれを利用しているのか、そして電子タバコが人体にどのような影響を及ぼすのかを一時間にわたって紹介しています。
気になる動画は続きから!
目次
動画
まったくタバコを吸ったことのないホストがVAPEを始める
動画では平等性をPRするためか、今までまったく普通のタバコも電子タバコも吸っていない番組ホストが電子タバコを口にします。
海外の話なのでニコチン入りリキッドを吸っているようです。
電子タバコの生みの親、中国のホン・リク氏も登場
第一世代のプロトタイプ電子タバコも登場。
電子タバコの生みの親ホン・リク氏は、2004年から自身の父親がガンになったことをきっかけに禁煙を考えた結果、電子タバコの販売を開始したそうです。
現在でいう中華オーセンの生みの親ともいえるでしょうね。
タバコメーカーへの取材も行う
タバコメーカーへの取材も行われており、ここで製造者サイドは「タバコの葉自体に害はなく、レタスなどの野菜と同じ」とPRします。
さらに製造者は続けて「タバコは燃焼させることで数百種類の毒素を出す。燃焼というプロセスを除いたものが電子タバコである」といいます。
加えて「(電子タバコのリキッドには)好みに応じてフレーバー(味)を追加することもできる」とメリットを語りました。
つまり燃焼させなければニコチンは無毒である(そう毒性はない)、と言っていることになりますよね。
※なおこれは番組を見た僕個人の解釈であり、実際にニコチンは飲んではダメな劇薬物です。
ホストが「電子タバコのリキッドは何で作られているのか?」と質問すると、
「ニコチン、水、香料(フレーバー)、プリペリングリコール、グリセリン」が入っているとし、「産生される蒸気の大半がグリセリン」だと回答。
※日本で販売されているリキッドにニコチンは添加されていません。
興味深いのは普通のタバコを吸ったときに約6000種類もの毒素が発生(人体には約100種類が影響)するのに対し、電子タバコではほぼ無毒に近い数値を示している点。(図上がリアルタバコ、下が電子タバコ)
このデータが「電子タバコが普通のタバコより95%安全である」という証明のデータの模様です。
電子タバコは通常のタバコと比較して細胞修復が行われている
タバコと電子タバコの”スクラッチテスト”によると、
通常のタバコが20時間以上経過しても細胞の修復が行われなかったのに対して、電子タバコ(リキッド)では12時間半で治癒、21時間後に完全に修復が行われました。
図は上から何も吸っていない人、電子タバコ、普通のタバコを吸っている人、のデータですが、電子タバコと吸っていない人の細胞はほぼ同じ動きを見せているのに対して、普通のタバコは細胞がダメージを受けている模様がはっきりとわかります。
タバコメーカーのデビッド氏は「電子タバコのリキッドでニコチンを摂取しても、細胞の治癒力へ影響を与えないことを(この結果が)証明している」と語ります。
番組ナレーションは中立の立場として「この結果だけ受けて電子タバコが安全と言い切ることはできない」が、「電子タバコは少なくとも体を治癒する力をタバコのように邪魔するものではない」と言い切っています。
4つのグループで禁煙実験
動画内では4つの禁煙グループにわけて、それぞれの体調の変化と電子タバコがどう人間に影響をもたらすのかを番組が独自に調査しています。
4つのグループは次の通り。
- そのままタバコを吸い続ける
- 根性禁煙
- ニコチンパッチを使った置換療法
- 電子タバコで禁煙
一週間後にそれぞれの様子を見ていると
電子タバコ組は「タバコのことを考えなくなった」。
置換療法組は「タバコ代が浮いたお金でお出かけして得をしている」。
根性禁煙組は「イラついて犬を蹴飛ばしたり蹴とばされたり」。グループの数名が喫煙者に逆戻り。
リキッドのフレーバーの害はどのくらい?
続いてリキッドのフレーバーが人体に与える影響が調査されました。
実験装置に電子タバコをつなぎ、55パフの後にどれくらい細胞が生き残っているかを調査します。
メンソールとピナコラーダフレーバー
53%の細胞が生存
メンソールフレーバー
25%の細胞が生存
食用では問題なくても、吸引することで香料が健康に影響を及ぼすかもしれないというデータです。そしてデータは実タバコの採取に及びます。
リアルタバコ
わずか5-6%の生存
つまり少なくとも電子タバコは通常のタバコに比べれば健康的であるといえますね。ただし吸引するフレーバーによって異なる健康被害が起こる可能性は否定しきれません。
興味深い周りへの影響
話題は電子タバコユーザーの周りに与える悪影響についてへ移ります。
ロズウェルパークがん研究センターのマーク・トラバー博士は、
公共の環境は何にも汚染されずに健康的な空気である必要があると主張します。
続いて実際に電子タバコの水蒸気がどのような影響を与えるかがテストされました。
密閉された小部屋にベイパーを入れ、ベイピングが室内をどう汚染するのかがわかります。
エアゾールの量が相当多いという指摘があり、高いレベルでは大きな変異性が起こる可能性があると実験者が指摘します。
実験者はこのエアゾールに何が含まれているのか、タバコと同等に一酸化炭素量とその他の毒性物質について調べていきます。
結果、電子タバコの水蒸気には
「一酸化炭素は含まれておらず」
最低でも「99%毒性が低い」
と結論づけられました。
ニコチン入りリキッドについても言及されており、通常タバコの1/20以下で非常に低い数値です。日本ではノンニコが基本ですから周りに与える健康被害はほぼないといってイイのでしょうね。
つまりVAPEではタバコに比べれば副流煙の問題は「ない」ということです。
ただしプリペリングリコールとグリセリンが空気中に放出された場合の健康被害については、現在一般人が吸っている空気と異なり長期間でどのような結果になるのか、現時点で結論は出されていません。
ホストが4週間ニコチン入りリキッドを吸った結果
生涯これまでに一度もタバコを吸ったことのないホストが
4週間ニコチン入りリキッドを吸った結果、
運動能力や認知能力が向上することが認められており、例えば文章を書く、裁縫をするといったことに向くようです。ただしホストは喫煙者とは異なり数値が安定していないことを付記しておきます。
健康に効果が期待できる部分(アルツハイマー・パーキンソン病)もあるようですが、
ニコチンは中毒性のある物質(カフェイン程度の中毒性という研究者もいます)が含まれているので、そこを心配する声は上がっています。
4週間後の結果:その他の実験対象グループは?
さて4週間禁煙に挑戦したグループは一体どうなったのでしょうか。
根性禁煙グループ
7名中2名が禁煙に成功
置換療法グループ
8名中7人が禁煙に成功
電子タバコグループ
8名中7名が禁煙に成功
電子タバコを吸ったグループと置換療法が最もよい結果となりました。
つまり根性禁煙できた人は素晴らしいけど、やっぱりほとんどの人は置換療法か電子タバコが必要ということですね。
また電子タバコ、置換療法グループともども、4週間前と比較して肺の中の毒性ガス数値が極端に低下したようです。
数値的にも非喫煙者と同じか、吸ったことのない人と同じという検査結果です。これについては僕自身も禁煙外来にいった際に体感したことです。⇒コラム:非喫煙者と同じ一酸化炭素濃度!?電子タバコだけ吸って禁煙外来に行ってみた
禁煙成功者はガンのリスクも大幅に減っており、さらに心肺機能が向上する例も見られたようです。
さらに禁煙に成功した場合、気道の抵抗が改善して楽に呼吸ができるようになったという結果が出ています。
まとめ:方法にかかわらずの4週間の禁煙で健康体になれる!?
番組は基本的にデータに基づいた中立の立場で進行されていましたが、
結果だけ見ると禁煙はしたほうが良いですが、根性禁煙は良くないということが分かりますね。
僕自身も禁煙に挑戦中で、厳しい方からみれば電子タバコ(VAPE)を吸っている以上禁煙したとはみなさないという方もいるでしょう。
この番組で一番見てよかったなと思えるのは周囲への影響がほとんどないと今のところいえること。
個人的には今後、VAPEは匂いについての害が普及するにつれて問題視されてくるかと思います。
タバコとは違うもののVAPEも匂いを発生する趣味嗜好ですから、、健康被害が仮に完全にないとなっても、周りへの影響を考えて喫煙所で吸う習慣やより良いVAPEマナーを身に着けていきたいですね。
最後になりましたが長時間の動画に日本語字幕をつけてくださったGabishさんに畏敬の念を込めまして今回の記事の〆とさせていただきたいと思います。とてもためになる動画をありがとうございます。