当ブログでも幾たびか取り上げているVAPEの規制関係情報。
アメリカでは最近、FDAの規制法案の最終案がリリースされたのを受けて、 各メーカーがFDAについての見解と対応を示しています。
⇒【コラム】FDAの電子たばこ規制で日本のVAPE業界はどう変わる ..
米国、電子タバコのみなしルールを「原則禁止」に?!規制ではない ...
このFDAの規制法案について、ガビッシュさんがきれいにまとめられていたので引用しながら自分なりにも見解を述べてみたいと思います。
気になるたばこ規制については続きを読むからご覧ください。
目次
アメリカはタバコアレルギーであることがよくわかる”古臭い”規制
引用⇒米国タバコ規制法に関する考察 - Gabish Vape Blog - 電子タバコのひとりごと -
まずFDA(アメリカ食品医薬品局)での規制最終案リリースについては以前に取り上げました。
問題となるのが、
日本ではGW真っ最中の2016年5月5日、FDA(アメリカ食品医薬品局)により電子タバコを含むタバコ関連製品の規制最終案がリリース
規制内容自体は2014年に出された素案をベースとして大きな変更はなく、その変更がないことで市場への大きな打撃になることが、ほぼ避けられない状態
リリースされた規制の詳細は499ページ。詳細については読んで判断していただくしかないですが、なるべく私の理解した範囲でまとめます。内容については正確であることに注力しますが、その上でも複雑さから間違っている可能性もありますので、あくまでも詳細は実際の規制内容を参考にしていただけますようお願いします。(https://s3.amazonaws.com/public-inspection.federalregister.gov/2016-10685.pdf )
499ページにびっしりと規制について書かれている内容ほとんどが、2014年の素案から大きく変えられていないこと。
米国では2009年に連邦裁判所の決定によって、eCig関連製品は薬事法ではなくタバコを規制するための法令によって規制されると規定、その規制の実態をFDAに委ねました。
FDAはこれをタバコ規制法として2014年に法案を提出、そこから長い時間をかけて様々なヒアリングや反証結果の提出、15万人を超える署名の提出などが行われてきたわけですが、
これらをすべて無視した状態で、まさかの「最悪の場合はこうなるよね」という規制内容のまま今回の最終案にまとめられています。
日本ではニコチン入りリキッドの輸入に規制がかかっていますが、
現在のところ電子タバコ製品(VAPE)そのものへの規制はありません。
今回のタバコ規制法では、あらゆるメーカー、ディストリビューター、小売店が大きなダメージを受けるだけでなく、商品のレビュワーから消費者までが大きな影響を受けることになります。また、本来タバコではないVapeデバイスやリキッドをタバコ製品と括ってしまったため、例えばゼロニコチンのリキッドであってもタバコ製品として扱われます。販売時のニコチン警告だけは検査結果を経て表示義務を免れますが、それはあくまでもタバコ製品だという馬鹿げた話
悲惨なのがFDA規制法案がこのまま可決されるとメーカーだけでなく、我々消費者も大打撃を受けることになりますね。
ここで重要なのがVAPEデバイスまで「タバコ製品」にくくられてしまうこと。我々が手にしているMODやアトマイザーにも関係してくるものと見られますね。
具体的な規制内容で大手タバコメーカーしか生き残れなくなる?!
■規制対象物
人がタバコ成分を摂取できる形で提供されるすべての製品(構成部品、パーツを含む)
■規制対象者
メーカー
輸入業者
小売店
■規制内容
・18歳未満者への販売の禁止(自販機の禁止
・製品および広告への健康リスクの警告表示義務
・light, low, mildなどのあいまいな表現の禁止。Smoke-Freeなどの文言禁止
・他のタバコ製品と比較して健康への被害リスクが低いなどの表現を使った広告の禁止
・無料サンプル配布の禁止
さらにあります
・メーカー/輸入業者は年に2回の商品リスト及び広告内容の提出
・メーカー/輸入業者の施設の監査と登録
・電子タバコリキッドの原料リストの提出
・HPHC(人体への悪影響に関わる物質)リストの提出
ここからが目玉です
・2007年2月15日以前から販売されている電子タバコ以外は規制対象外とする。
・2016年8月8日以降、認可を受けていない新製品の販売禁止とする。
・2007年2月15日~2016年8月8日の期間内に販売されている既存製品は、非常に煩雑な販売前タバコ製品申請(PMTA)の提出とFDAによる認可を必要とする。
・申請提出期限は2017年8月8日
・年間売上500万ドル未満、かつ従業員150人以下のメーカーは2018年8月8日
18歳未満への販売禁止は妥当と思います。
無料サンプル配布の禁止は未成年への喫煙の推奨を防止しようという考えなのでしょうか。拡大解釈されるとメーカーからレビュアーへの配布、あるいはお店でのリキッドテイスティングの提供も禁止、とされかねません。
また同時にメーカーや輸入業者がUSAで事業を行う場合は施設の検査、商品情報の提供などすべてをさらけ出す必要があります。
事実上アメリカで電子たばこ産業は壊滅する?
Grandfather Dayと呼ばれる基準日が2007年2月と指定されてしまったことで、それ以外の電子タバコ及びリキッドは、FDAによる認可を得なければ今年の8月8日から2年以内に販売をすることができなくなり、申請を行ったとしても1年の猶予で合計3年間しか販売ができないことになります。
3年後にも製品を販売し続けるためには、HPHCの提出とPMTAの認可をFDAから受ける必要があります。じゃあそのPMTA認可を取ればいいのねというと、そう簡単な話ではありません。例えばリキッドであれば、単一のフレーバー、単一のニコチンレベル(ゼロニコチンを含む)、単一のボトルサイズに対して、ひとつの申請が必要になります。PMTAとは異なり、リキッド成分だけでなく、Vaporとして生成されたものに健康被害がないことの証明なども検査結果として提出する必要があります。その検査には、単一のデバイスで行うのではなく、様々なコイルのセットアップやワット数など、数百にものぼる設定での検査が必要となり、さらに3バッチ分の検査が必要です。
無理ゲー。大問題は2007年の2月のGrandfather Dayってやつです(祖父の日。)このワードでググると関連する記事が腐るほど出てきます。
例えばリキッドの有効期限を1年間とした場合、製造から1年が経過した状態のリキッドに対しても同様の検査を実施しなければならないのです。これらに関わる費用は数十万ドル~数百万ドルと言われており、日本円で3億円取られてもおかしくない話
3種類のフレーバーリキッドを3段階のニコチンレベルで販売したい場合には、その費用が9倍に膨れ上がる
メーカーの悲鳴が聞こえていますが、これだけの費用を掛けて提出した上でも、まさかのFDAが認可しないという選択肢も握っているのです。
この体力を持てるメーカーというのは、ほぼ存在しないか、既存の大手タバコメーカーくらいのものだと思われます。そうです。そもそも巨大なタバコメーカーへの規制を、バックヤードでショップリキッドを製造している小売店にもそのまま適用するという規制
コイルのセットアップをショップで行うことも規制されます。PMTMの認可を通ったスターターキットそのもの、あるいはプリメイドコイルを販売することは問題ありませんが、コイルのセットアップをワイヤーを使って行うことは、すでにPMTMの適用内となり、認可を受けたその状態自体を変化させることは禁止されます。これはユーザーがどのようにセットアップを行うかが予測できない場合には、そもそもリビルダブル製品にはPMTMの許可が下りないという可能性すらあります。
リキッドを実店舗で販売されている店舗では、テイスティングのためにお客さんの代わりにコイルビルドをすることも多いと思いますが、
規制内容がそのまま適用されると、それがNGになるということと思います。
では自分たちは日本だから関係ないやというのは楽観視しすぎていて、
アメリカの電子タバコ売り上げは2015年度で10億ドル(約9900億円)といわれており、いずれは1兆円以上の産業になるという予測もあります。
その市場を担っているのが中国のInnokin、Joyetech、Kangertech、Aspire、Kamryなどの電子タバコメーカーですね。
彼らはこの規制に対して猛反対の運動を起こしていますが、仮にアメリカで事実上コストをかけずに販売できなくなれば、メーカーとしては売り上げが激減して撤退せざるを得なくなる可能性があります。
そうなれば他の市場で売り上げを補てんするしかなくなるわけですから、
単純に考えてもアメリカと比較して小さい日本市場での、電子タバコ製品が大幅に値上げされる、発売されなくなる、新規の製品が登場しなくなる。
といった弊害が大いに考えられます。
既に出始めている実際の影響
某ショップさんからのお話によると、このFDA規制法案が登場してから、
海外のリキッドメーカーが注文を受けてから生産という形に移行しているようです。そのため入荷に大幅な遅れが出ているとのこと。
つまりリキッドの在庫を持っておくとデッドストックになってしまい、資金を圧迫してしまうからの措置だと思われます。
規制内容から考えれば、少し手に入れるのが今までより遅くなるだけですからまだマシですが、今後を思うと憂鬱になりますね。
今何ができるのか?
ガビさんの詳細な原文・解説記事では、後半でアメリカの税収上の問題点から今回の規制強化につながったなどとても興味深い考察がなされています。
また、我々に今できることは?という問いについて、Vapeの賛成運動をしているCASAAへの寄付などといった間接的な支援方法についてものべられています。ソース必読です。
電子タバコ(VAPE)に関係する人すべてに影響があると私も考えています。
私自身もVAPEに出会ったことでいろんな人と交流ができ、また心身ともに体調も良くなりましたから、今回の規制は残念で仕方ありません。
あまり規制を強化しすぎると、法の目をかいくぐってアンダーグラウンドにVAPEが流行してしまうという懸念もありますね。
VAPEはリアルタバコに比べて95%害がない、など都合のよい情報には目をつぶって、けたたましく禁煙を叫ぶ禁煙ファシストとは、頭が悪すぎて相いれないなあというのが全体としての感想です。
何事もバランスが大事!
極論ですがそもそも人間は生きてるだけで害を受けてる、害を与えてる動物でしょう。タバコやVAPEを否定するなら自分そのもののライフスタイルを否定することになると思うのですが、みなさんいかがでしょうか?
たとえば僕はラーメンが好きですが、ラーメンなんて健康で見たら最悪の食べ物ですよ。じゃあ野菜が体に良いかっていうと、糖質の面でみたら決して良くはありませんし、野菜だけ食ってても人は健康になれないと思います。
僕の人生訓としてバランスがとても大事だと思っていて、食事にしても、VAPEやタバコの喫煙にしても、お酒にしても、ほどほどでバランスをとるのが一番いいということ。
お酒だって飲み過ぎればアル中になりますし、VAPEも吸い過ぎれば健康に悪い”かも”しれませんし。(結論出てませんからね)
なお最後に補足ですが。
根性で禁煙されてVAPEを毛嫌いする方も一定数いらっしゃいますが、
一番偉いのは根性で禁煙された方だと強く思っています。
一定の規制は必要だと思いますが、今後もモラルとマナーを守ってVAPEを末永く楽しんでいきたいものですね。
FDA規制法案の全ページ
https://s3.amazonaws.com/public-inspection.federalregister.gov/2016-10685.pdf
ソース:米国タバコ規制法に関する考察