カジノも“スモークフリー”な時代へ?〜カジノとタバコの密接な関係
カジノといえば、ラスベガスやマカオのように華やかな非日常を味わえる空間として認識されていますが、一方でタバコの煙に満たされたフロアで、自らの運をかけて賭けに臨むギャンブラーたちのイメージもあるのではないでしょうか。それほどまでに、これまでタバコとカジノの関係は切っても切れないほど強いものだったと言えるでしょう。
ギャンブラー=愛煙家なのか?
では、実際にアメリカのカジノでは、どれくらいのタバコが消費されているのか気になるところです。残念ながらギャンブルの現場でどれほどの量のタバコが消費されているのかというデータはなかったものの、アメリカのゲーム業界では、カジノでプレイするギャンブラーたちの70%以上が喫煙をしているという主張が繰り返えされているようです。
この数字は非常に高いものに見えますが、実際にラスベガスのあるネヴァダ州にあるカジノでの実情を調べたネヴァダ大学のレポートによると、カジノでタバコを吸う人の割合はおおむね20%程とのことでした。アメリカ疾病予防管理センターのウェブサイトによると、2020年の18歳以上のアメリカにおける喫煙者の割合は12.5%とのことなので、確かにその割合よりに比べると、カジノで喫煙を楽しむ人の割合は、それ以外の場所における喫煙者のそれよりも明らかに高いことになります。
本場アメリカ、カジノでは現状喫煙が可能
アメリカでは州ごとに喫煙に関する法律が違います。例えばカリフォルニア州などのようにレストランやバーを含む公共施設内では全面的に喫煙が禁止されている州もありますが、ラスベガスのあるネヴァダ州では、現時点でカジノの施設内での喫煙は、禁止されていません。
一方、アメリカ東部でカジノが有名な街といえばアトランティックシティですが、同市があるニュージャージー州では、カジノのフロア面積の25%まで、喫煙可能な場所を持つことが許可されています。
これらの場所で喫煙が許されているのは、これまで上記の通り、「カジノに足を運ぶギャンブラー=愛煙家」というイメージの賜物であり、カジノ側も全面禁煙のポリシーを持ち込んで懇意のギャンブラーたちを締め出すことが、利益の減少に直結することを恐れており、強い抵抗を示していました。
受動喫煙なしで楽しみたいならオンカジが唯一の方法?
そういったこともあり、全米で最大のギャンブル市場をもつラスベガスでさえ、全面的に禁煙となっていたカジノは Park MGMだけという現状でした。一方で、完全に“スモークフリー”でカジノの本格的なゲームを楽しみたければ、オンラインでプレイできる、ここで紹介されているようなオンラインカジノに頼らざるをえないのが現状だと言えるでしょう。
しかしながら、カジノコンサルタントのコンソーシアム「C3 Gaming」が2022年6月に出したレポートの中に「コロナ禍における消費者行動の変化により、いくつかの地域で、カジノでの喫煙を禁止したとしても大きな減収は見られない、それどころか喫煙を認めているカジノよりも良いパフォーマンスを見せている」といった旨の記述があり、これまでのカジノ=タバコという組み合わせに変化が生じていることが示唆されています。
また同レポートでは、前述のニュージャージー州や同じく米東部のロードアイランド州、そレニペンシルバニア州などを含む複数の州が、カジノ全面禁煙とすることを検討中としています。世界でもメジャーなカジノ市場の一つであるアメリカで、こういった抜本的な変化が現実的に起こるのか、興味を持って見守りたいところです。
日本のカジノは喫煙可?それとも全面禁煙?
ちなみに日本では2020年に施行された改正健康増進法による、公共施設の屋内においては、原則禁煙となっていますが、一方で、飲食店については予め定められたエリア、または「喫煙を嗜むバー・スナックなど」では、現在でも喫煙が可能となっています。
2018年に成立した「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法」により、現在大阪と長崎の二都市が候補地として名乗りを上げていますが、日本で近い将来誕生するこの合法のカジノが、喫煙可能、あるいは全面禁煙になるのか、というのは気になるところ。
リゾートやカジノとしての充実度もさることながら、これによって集客の度合いや、客層が大きく変わることも考えられ、慎重に検討を重ねるべきトピックであることは間違いないでしょう。